被相続人が年金を受給している場合、未支給の年金が発生することがあります。
年金と言うのは、「後払い」とです。つまり、4月15日に支給される年金は、2月・3月分の年金であり、6月15日に支給される年金は4月・5月分の年金ということになります。したがって、年金を受給している方が6月1日に亡くなった場合、4月・5月分の年金を受給せずに亡くなったこととなります。これが、未支給年金です。
未支給年金は、相続人が受け取ることとなりますが、相続人固有の権利として受け取るのか、遺産として受け取るのかにより、遺産分割協議の対象となるかどうかが異なることになります。生命保険金のように、相続人固有の権利として受け取るのであれば、遺産分割協議の対象となりませんが、遺産として受け取るのであれば、遺産分割協議の対象となります。この点については、従来、判断が分かれていました。
この点について判断したのが、最高裁平成7年11月7日判決です。最高裁は、国民年金法19条が「年金給付の受給権者が死亡した場合において、その死亡した者に支給すべき年金給付でまだその者に支給しなかつたものがあるときは、その者の配偶者、子、父母、孫、祖父母又は兄弟姉妹であつて、その者の死亡の当時その者と生計を同じくしていたものは、自己の名で、その未支給の年金の支給を請求することができる。」と規定していることから、支給年金を相続財産ではないと判断しました。したがって、未支給年金は遺産ではないのですから、遺産分割協議書に、遺産として載せるのは間違いということになります。また、遺産ではない以上、上記の受給権者は、相続放棄をしたとしても、受給権があるということになります。
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